アンティークモール銀座は、西洋アンティーク、和・東洋骨董、きもの・古布ショップが約200店集合した、アジア最大級の骨董ショッピングモールです。

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Vol.28

 


 
骨董ファン28号  


●エッセイ 「巡り来たるもの」
●戦前。束の間の幸せ
●日本と戦争
●セルロイド
●ベークライトとルーサイト
●中原淳一の世界
●オキュパイドと輸出品
●アメリカキッチン製品
●よい子は学ぶ
●菓子箱
●楽になったお母さん、サラリーマンのお父さん
●乙女の部屋
●宇宙飛行と石油時代
●くろんぼう
●東京オリンピック、新幹線、美智子樣
●アメリカから来た人気物
●戦前・戦後のヒーローたち
●ノベルティーグッズ
●ダンシング70’s
●鉄腕アトムはまだ0歳
●ちゃぶ台からダイニングテーブルへ

●エッセイ「衣」〜あの頃のきもの〜
●帰ってきた「アルバイターむっさんが行く!」
●さえきあすかの「掘り出しモノ日記」
●日本全国骨董行脚〜香港編〜
●全国骨董市・アンティークフェアカレンダー
●骨董ファンファイナルに向けて
●奥付 広告索引

 
   
 


今号も、骨董ファンをご愛読下さいましてありがとうございます。
骨董を扱うこと、買うこと、集めること、
骨董というものに関わるとはどういうことだろう。
骨董ファンはそんなことも模索してきました。

少し照れながら、「骨董をかざすと歴史がみえます」なんて言ったりします。
骨董にはその奥に広がる限りない歴史の営みがあります。

ちょっとした形や、ほんの少しの色づかいで、秀吉が天下を取ったのだとか。
アントワネットが斬首台の露となったとか、坂本竜馬が海援隊で船出したとか、
はたまた十字軍やアレキサンドロス大王にお釈迦樣、縄文人や弥生人にいたるまで、
みんな本当に生きていていたことが実感できます。
そして、今自分がここにあるのは、その生きてきた人々が、
革命をおこしたり、愛しあったり、戦いあって、
歴史が動いてきたからだということを、教えてくれます。

骨董と関わるということは、歴史と関わることだと思うのです。
人はその歴史の中にいる自分をいとおしむために骨董と関わるのかもしれない。

地球が生まれて五十億年、猿人が生まれて三百万年、人間の文明というものが始まって八千年。
人はそんな気の遠くなるような空間の中で生かされていて、
その空間がどこにあるのかさえ知ることができません。

神話の中でフェニックスは、五百年ごとに世界のかなたから飛んできて、
祭壇の上で自ら焼け死んでは、その灰の中から幼い鳥になってよみがえるのだそうです。
けれどどんなに生きてもせいぜい百年のなさけない人間は、
何とか歴史にしがみついて、そのあいまいさの空間の中で、
よるべを求めることができる骨董を大切にしたいのかもしれません。

物心ついたころのこと、
たった五〜六年生きた自分の歴史の重さに押しつぶされそうになって、
台所に捨ててあるかまぼこ板に、おぼえたての自分の名前をクレヨンで書いては、
庭のあちこちに埋めていたことを思い出します。
自分の歴史が消滅してしまうのが恐かったのです。
けれどきっと今頃はクレヨンで書いた幼い字はもちろん、
かまぼこ板さえ土に返っているでしょう。

どんなかたちにしても、人は大きな歴史の流れの中で自分という歴史を大切にしたい。
それが骨董というものと、人を結び付ける結び目。

せっかくこんなおもしろい骨董なのに、
値段だけでおしはかったり、真贋を問うあまりに猜疑だけで見たり、
そんなことばかりではちっとも楽しくない。
定規も量りもない舞台で、ときはなたれて、奔放に、
あるがままの心でものに見とれた自分を信じる爽快さ。
誰がつくりだしたのかわからないけど、確かにつくり出した人は生きていて、
それからめぐった人から人への手の中で、いけしゃあしゃあと生き延びているくせに、
なおも馴染む手の中のぬくもりの、憎らしいこと、愛おしいこと。
だから出会った骨董が、何万年という時を経てきたものであっても、
わずか数十年という時を経てきたものであっても、それが大切ならそれでいい。
過ぎていった時に長いとか短いとかの尺度はないと思うのです。

さて、骨董ファンはこれでおしまいです。
なさけない人間かもしれないけれど、
その人間ひとりひとりが生きなければ、
一瞬が積み重なっていかないということを、歴史が紡いでいかないということを、
そして未来が待っているということを、
いつも忘れないために、
骨董というものと共に関わり続けられればと願っています。

長い間、本当にありがとうございました。






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